全て、粒鍼であるマグレインを使用したものです。個人差がありますが、様々な部位の痛みに対して、効果が期待できます。研究では、70~80%の患者さんに対して、症状緩和が期待できます。
専用の鍼であるASPは注射程度の侵襲性があるため、マグレインで効果に対する反応を確認した後に使用いたします。
温熱刺激で、膝痛の緩和をはかっている所です。 | 首と背中のはりと痛みに対して、粒鍼による戦場鍼を行った例です。 | 応用で、BFAポイントへの温灸です。お顔がポカポカすると、好評です。 |
腰痛と頸部痛に対する戦場鍼です。 かぶれ難いチタンの粒を貼っています。 | 円錐形の粒鍼です。 今日刺激の鍼で、強い痛みに用います。 | 患者様にあわせて、粒の大きさを変え、刺激量を調節して施術します。 |
米軍の戦場鍼で用いられている耳鍼、ASPです。 |
戦場鍼とは、2001年にアメリカ空軍退役軍医大佐であるRichard C. Niemtzow博士によって開発された鍼治療です。この画期的な鍼治療は、教育研究のために2013年に米国国防省と在郷軍人会共同基金から540万ドルの資金助成を受けた事を転機に大きな進歩を遂げました。様々な疼痛、PTSD、不眠、薬物依存などに対して効果がある可能性があり、その詳細を明らかとするため臨床研究の報告が出つつあります。
現在は、おおむね75%の患者に鎮痛効果が期待できると言われています。
2018年に報告されたものでは、コネチカット州の退役軍人医療センターに2016年10月~2017年12月の間に来院した退役軍人753名のうち751名の筋骨格筋系の痛みに対する直後効果は、
・減少が616人(82.0%)
・不変が73人(9.7%)
・増加が62人(8.3%)
鎮痛効果の程度は、治療直後で、平均(標準偏差)で6.9±2.3の痛みから4.7±3.0と、平均で2.2±3.0減少しました。(痛みの最大値は10です。)
つまり、平均で3割程度は減少するという事です。
使用する鍼ですが、米国などでは主にフランスSedatelec®社のASP鍼を用いて治療が行われていますが、日本では認可されておらず、薬監証明をとった一部の施術所のみで使用されいます。また侵襲性が高いこともあって、日本人ではファーストチョイスで使いにくい事があります。
技術がいりますが、日本の刺す鍼や貼る鍼、そして灸刺激でも効果を出すことが可能ですので、当院では日本の鍼灸をもちいてソフトな刺激を用いて戦場鍼を行い、効果をあげています。筆者の経験では、施術直後より痛みによって強張っている筋が緩み、疼痛が軽減しはじめる印象を持っています。そして複数の痛みを持っている患者さんでは、体が優先順位を決めている様に人によって膝から効いたり首から効いたりするような印象を受けました。
必要な患者さんのご希望があった場合には、ASPを使用しますのでご相談ください。
医学博士 鍼灸師 武田充史